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Posted by 安奈 - 2014.12.28,Sun
二回目行ってきました。未見の方は続き開かないようにお願いします。



二週目はぶっちゃけシナリオがベタベタなのでストーリーライン追うの苦痛でした。
初見「嫌な奴だな~」と思ってたトムとマン博士の見え方が変わって凄く苦しかった。
この辺は後述します。

■ノーラン謹製ハイパーポジティブ古今東西SFパロディ超大作~人類よ開拓精神を抱け~
インターステラーはハリウッドが巨額を投じて全てのSFを礼賛する為に作ったお祭り作品なんだと思います。
ノーラン作品はメメントからインセプションまで大体見ていて、この監督の特徴はジェットコースター展開と情報の洪水とビターエンドだと思ってましたがインターステラーは違った。
膨大な情報(主にオマージュ元の作品の示唆)が背後にありますが、表面は過去作に比べて穏やかです。それでも十分絶叫マシンしてるけど…
終劇はもうこれでもかというほどハッピーエンドです。イブが待つエデンへレッツゴー!
でもいっつも影のある終わり方で締めてたのにどうして今回ハイパーポジティブになったんだろう?なんですが、私は2001年宇宙の旅を代表する伝統的なSFの描き方が原因の一つだと思ってます。

■最初っからディストピア
民話・神話・古典は除きます。別の話になる。
サイエンスフィクションと呼ばれるジャンルは自然科学の発達と産業革命から生まれました。
世界初のSF作品とされてるのは「フランケンシュタインの怪物」です。
この名前上げただけでああ…ってなることうけあい。哀愁と理不尽と無情渦巻く欝な話です。この延長線上にロボット物の始祖にあたるRURがあります。
SFの雛形は悲劇で、人類の傲慢に対する皮肉と批判が主幹です。
今でこそセンスオブワンダーとかすこしふしぎとか人類を俯瞰する作品群とか言われてるけど根は自虐。それは現在も脈々と受け継がれています。(伊藤計劃とか皆見終わってうわあ…ってなるんじゃないの大丈夫なの…)

■SF映画
永遠の大傑作スタンリー・キューブリック監督作品「2001年宇宙の旅」
誰しもこの呪いから逃れられない…
好き嫌いで語れるレベルじゃないです。基礎の基礎。必須教養にしてラスボスです。
インターステラー二回目を見てやっぱ2001年には敵わないよなあと思いました。ていうかそもそもパロディなんだから…もう絶望感でいっぱいです。
この全てにおいて圧倒的(賞賛を省略)な2001年で提示されたスターチャイルドという概念こそSFが突破しなければいけない課題なんです。
スターチャイルドの解釈はかなり幅が広くて、ぐぐって頂ければすぐに面倒くさいSFガチ勢の考察サイトがいくつもヒットするはずです。
ざっくり言うと高位存在(不可知の神・インテリジェンスデザイナー)によって進化した人類です。進化じゃなくて殺人の罰受けてるんじゃね?的な意見も見たことあります…
意見が割れているのは2001年がクラークとキューブリックの合作だったせい。
私はクラーク版2001年は読んでいません。幼年期の終わりを読みました。死ねました。
読後感に個人差あるのはわかってますが、マイ・モスト・オブ・グロ。進化を謳った人類大虐殺。
幼年期が終わる現象が一個体レベルで起こったのがボーマンだと分かったので恐ろしくて他の作品読めてないのが現状です…宇宙の旅シリーズだけはいつか消化したい…
(与太話。クラークの思想はグノーシスがベースだと思ってたけどインターステラー見てあっこれ違うなと思った。グノーシスだとしても高位存在はデミウルゴスだと思える)
CCコンビによる知性体の生存欲求は暴力によって決着が付けられます。殺さなければ終わらないひどく悲観的な論理です。
善悪を超越した人間以上の存在が荘厳で美しいからこそ2001年は傑作足り得る。神の視点がこれほど説得力を持って機能している作品は他には火の鳥くらいしか思いつきません。(これは私の不勉強)
でも私は人間なんでこの残酷さに耐えられない。あいつらサイコパスや!!!!1!!!
で、インターステラー絶賛に繋がります。

■進化する人類
五次元人は未来の人類。
やってくれたぜノーラン!!!!!この前向きさ!根アカっぷり!!
一歩間違えればまーたメリケンがジャイアンしてるよにならなかったのは作中でキラッキラに輝くリスペクトパロディと過去作の苦さとの落差のせい。
二回目は泣かないだろうと思ってたけど四次元立方体が閉じる瞬間は総毛立ってしまってだめでした。(いろんな意味で恥ずかしかった)
ベタでいい。根性論でいい。無謀でもいい。
誰かに与えられた力ではなく、無数の一個人の精一杯でいつか途方もなく高い世界に辿り着く予感。
スターチャイルドが生存本能から発生した殺しがキーになるのに対して、「彼ら」は愛が動機の行動によって進化する。
これはSFの新しい基盤足りえます。こっちの方が好きです。

■ミクロマクロ
アメリアがいきなり「愛は観測可能」とか言い出した時は直前のイベントの事もあってなんだこの女…って思いました。(この映画観客の感情をミスリードさせてくるから…)
クーパーはクーパーで一貫してさっさと任務済ませて地球に戻りたい。
愛は地球を救う話だけど、登場人物の動機はどれも個人的な感情に基づいてます。
細部の描写がされなかったロミリーとドイルは想像でしかありませんが本当に人類を救う為だけに搭乗したんじゃないかと思っています。だから死んだ。
マン博士は生存本能と研究者の狂気に基づいて行動した。愛がないから失格。死亡(マン博士は後でまた書きます)
地球でも感情を殺して秩序を保つ事を選んだブランド教授が死亡(年齢とか展開の関係もあるだろうけど)
【すみません↑もうちょっと考えてみます】
ワガママとも思えるような強い執着が安っぽく、ありがちに、小さく描かれているのがミクロ。
暗く静かで美しい宇宙、視覚化された物理法則、トンデモ現象がマクロ。
ふたつを繋ぐのが「彼ら」です。

一旦切ります。疲れた。





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